ENo.174 グロッタ・グリムギア
プロフィール
あなたはシナモンパイを食卓から絨毯に落としたことがあるだろうか。 本来、パイが上向きに落ちる可能性と下向きに落ちる可能性はフィフティフィフティの筈である。しかし、プラネリッタは自らの食卓において、パイが上向き、つまりメレンゲの乗った面から落ちる事の方が多いと主張している。 得てして、人は自分にとって悪いことを鮮明に覚えがちな生き物であるため、このような現象が起こり得るのだ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー いやまあそんな事はどうでもいい。と言うのも、その現象がこれから先で何かに使われる訳ではないからだ。 そいつの名前はグロッタ。自律人形工房として名を上げているグリムギア製の家事手伝い用オートマタである。 グリムギア製のオートマタはどれも高品質であり、動力源さえあればまるで人間のような精密な動作を行うことが出来るのだが、そいつはその中でもより「人間らしい」オートマタとして受注生産されたのだ。 だが、その「人間らしさ」がまずかった。そいつは掃除をすると不要物もろとも主人のコレクションを処分し、お使いを頼まれて外に出かけるとカジノに出向き金を摺る......と酷い有様。 最終的に主人と喧嘩をしでかして家出を敢行してしまう。 最初のうちは主人からネコババしていた小遣いでやりくりしていったが、1、2ヶ月後にはその小遣いも底を尽きてしまった。 金がなければ動力源を調達できなくなり、その内動作を停止して溶鉱炉にホイコーローされてしまう。 それなら、みすみす頭を下げて主人のところに帰るのか?それも嫌だ。 だいたい前のご主人なんてイケメンでも美女でもない、ひたすら陰湿そうなオッサンじゃないか。帰るぐらいなら死んだ方がマシだった。 だから、そいつは比較的すぐにまとまった金を調達できる場所を調べた。 そうしてたどり着いたのが、ここ琳彩廊。ここでは宝が獲られれば一攫千金も夢ではない。 ちょっと汗水垂らして動き回らなければならないのは癪だが、億万長者になるまでの辛抱だ。よーし、やったるぞ。 ......とまあ、そいつの冒険が始まるわけなのだが。
愛称
グロッタ
アイコン
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